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  • Rokuyo-sha

18歳。京都に魅かれて、この街に住み始めた頃、「朝日シネマ」と六曜社地下店のミルク珈琲&ドーナッツが私にとって最高の贅沢だった。田舎では見れないフランス映画の感動が冷めないようにと急ぎ足で河原町を下った。騒がしい街に背を向けて降りる階段の側面には、先刻見た映画のポスターが興味をそそるイベントの宣伝と一緒に無造作に貼られていた。扉を開けると濃厚でしっかりとした珈琲の香。朝のダイニングの香よりはっきりしていて、教授の研究室のそれよりも贅沢な匂い。この店はいつも、カッコイイ音楽と、そんな「大人の香」に包まれていた。

少し高めのカウンターに座って、横目であたりを見回すと、自分以外の客人は全員知的な人に見えていた。書き物をするお姉さんに、音楽を楽しむおじさんたち。自分もこの雰囲気に馴染まなくてはと、変に大人ぶった態度をしていたのが、今となっては恥ずかしい。そんなにも幼かったから、この店のミルク珈琲が大好きだったのかもしれない。大人の香を残しながらも、その中にある、渋味や酸味を除いてくれる暖かいミルクが沢山入ったミルク珈琲。そして、小さい頃、ママが作ってくれてような優しい味のするドーナツ。何の飾り気もないドーナツが、一番美味しいのだと気付いたのもこの店だった。無口で淡々と仕事をするマスターに話かける機会を伺いながらも、結局、その夢は果たせなかったように思う。

大人に憧れるのは、子供の証拠なんだと、今になって分かる。今ではもう、珈琲はブラックでしか飲まなくなったし、気に入った店のマスターには自分から話かけられる。願っていた大人になったはずなのに、今、あの頃が懐かしいのはなぜだろう。夢を見いられる時間ほど、貴重なものはない。そして、夢を見ていたその場所は、その人にとってとても大切な場所になる。私の人生において、六曜社地下店はそういう場所なのだ。そして、きっと、沢山の人にとってもそういう場所なのではないだろうか。

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地下は自家焙煎の珈琲が味わえる。焙煎してから10日以内の豆しか使用しない。注文を受けてから数種の豆を好みの焙煎具合で煎れてくれる。酸味も苦みも程よい具合で有る”本当に美味しいコーヒー”は、マスターにとってはあたりまえの最低の基本ラインを守っているだけだとか。うちの店より不味い珈琲があればそれは何かの過程をサボっているだけの事。という発言にもマスターの珈琲に対する美学を垣間みる。

六曜社

創業は1950年(昭和25年)。当時は地下だけの営業が、1965年ごろに一階で珈琲、地下はバーのみという形態になり、更に数年前から地下が昼間から喫茶店も再度開店することに。今回、取材させて頂いたのは地下の喫茶店&BARの六曜社。一階は喫茶店のみで営業している。

六曜社

このお店でこのドーナツ&コーヒーにありつけると幸せ気分になれる。毎日、自宅キッチンで奥様が造られるホームメイドならではの愛を感じられる味わい。一日50個限定(休日100個)
価格は100円!他にパウンドケーキ、ロールケーキも毎日焼きたてを提供。

六曜社

地下に降りる階段横の清水焼きのタイルの壁には様々な映画やイベントのポスター、フライヤーが貼ってある。

六曜社

ストレートコーヒーのメニュー。マスターに好みを云えば適したものを選んでくれるのですが、参考迄に。他に人気メーニューのミルク珈琲。珈琲以外はレモネード、リンゴジュース、紅茶、チャイなど。

六曜社

喫茶店が好きなマスターが自分の中での喫茶店の理想を実現したのがこの店。六曜社という店名の由来は、この場所で戦前に6人のオーナーが交代で”六曜社”と言う店があったのを居抜きで借りたので、名前をそのままにしたそう。

六曜社

BGMは、音楽好きなマスターがその日の お客様の雰囲気を見計らいながら、合う音楽をかけている。マスターのDJはロック以外のノンジャンル。

六曜社

何故かこの店には友人と来るより、一人でふらっと訪れたくなる。バックバーにはI.W.HARPER、SUNTORY角瓶などのキープボトルが並ぶ。夕方6時から奥野氏の兄に交代し、BARになる

六曜社

マスターの奥野氏は六曜社の名マスターでもあり、シンガーソングライターの”オクノ修”氏でもある。喫茶店が本当に好きで仕方ないマスターの愛を感じられる名店。いつまでも京都の老舗喫茶店を高いクオリティのまま続けて欲しいと願う。

六曜社
営業時間 AM11:00〜PM6:00 水曜定休
京都市中京区河原町三条下ル
TEL:075-241-3026

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